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憂国のモリアーティ 1 (ジャンプコミックスDIGITAL) Kindle版
まとめ
点数

点数 73.4点 / 86.5点 (得点率 85%) レート 4.24 | |
ストーリー | 15.8点 / 18.5点 (得点率 85%) |
キャラクター | 16.3点 / 18.5点 (得点率 88%) |
キャラ・背景の ビジュアル | 19.3点 / 23.5点 (得点率 82%) |
テンポの良さ | 18.0点 / 21.0点 (得点率 86%) |
第一印象 | 4.0点 / 5.0点 (得点率 80%) |
総評
- 『憂国のモリアーティ』は、シャーロック・ホームズの物語を逆転させた視点で描かれた意欲作であり、構成・キャラクター・演出ともに高い完成度を誇ります。
- 特に、モリアーティ陣営の信念や、腐敗した階級社会への挑戦というテーマが明確に貫かれており、思想的な深みを持つ作品となっています。
- 一方で、中盤の展開にややパターン化が見られる点や、すべてのエピソードでテーマの深掘りが十分でない点など、惜しい部分も存在しました。
- 総じて、独自の切り口で読者に新たな価値観を提示する、重厚で考察に値する良作と考えます。是非是非読んでみてください!!
あらすじ
- 19世紀末のイギリス。貴族による階級制度が支配する社会に疑問を抱く青年・ウィリアム・モリアーティは、真の平等な世界を築くため、頭脳と策略を駆使して「犯罪」を用いた革命を目指す。
評価の詳細
ストーリー (15.8点 / 18.5点)
1. 独創性とアイデアの新鮮さ (4.8点 / 6.0点)
- シャーロック・ホームズという古典に対して、モリアーティを主人公に据え「犯罪による革命」を描くという視点は目新しく、十分に差別化されている。
- ただし、「逆転ホームズもの(=モリアーティや他の視点からホームズ世界を描く作品)」という系譜自体は過去にも存在しており、完全に未踏というわけではないため4点とした。
2. テーマとメッセージ性 (4.0点 / 5.0点)
- 「腐敗した階級社会の打破」というテーマは明確であり、作品全体を貫いている。
- ルイスやアルバートとの関係性を通して、「正義と悪の境界線」に挑む構図も力強い。
- ただ、例えばアダム・ホワイトとの対立構造などはもう一歩踏み込める余地があり、作品全体の思想に対する揺さぶりとしてはやや物足りなかったと感じた。。。
3. リスクテイクの姿勢 (2.0点 / 2.5点)
- ヴィクトリア朝の階級制度に対する明確な批判、モリアーティを「必要悪」として描くことは挑戦的である。
- 一方で、ホームズをはじめとした既存キャラクターを大きく崩さず描いているため、保守的な面も見られる。
4. 結末への期待値 (5.0点 / 5.0点)
- シリーズを通して伏線の配置と物語の構造が丁寧であり、読者に「この因縁はどう決着するのか」という強い期待感を持たせる構成になっている。
キャラクター (16.3点 / 18.5点)
5. 個性と印象の強さ (5.0点 / 5.0点)
- ウィリアム・モリアーティの静かなカリスマと狂気、ホームズの奔放さ、そしてアルバートやルイスといった兄弟それぞれの思想が際立っており、非常に印象に残る構成となっている。
6. 成長や内面の一貫性 (4.0点 / 5.0点)
- キャラクターの信念や一貫性はしっかり描かれているが、特にウィリアムの感情変化や内面描写は抑制的なため、深く共感しにくい部分もあると感じた。。。
7. キャラクターの説得力と共感度 (4.8点 / 6.0点)
- 行動の背景はロジカルに描かれており説得力はあるが、登場人物が「理念」に基づいて動きすぎる場面も多く、感情的な共感という点では一歩譲ると思われた。。。
8. 他キャラクターとの関係性 (2.5点 / 2.5点)
- モリアーティ兄弟間の関係性、ホームズとの対比・対立関係、MI6との政治的なやり取りなど、多面的かつ複雑な人間関係が作品全体に厚みを与えている。
ビジュアルの美しさや表現力 (19.3点 / 23.5点)
9. キャラクターデザインの独創性 (4.0点 / 5.0点)
- スーツ姿や19世紀英国風のスタイルにスタイリッシュなアレンジが加えられており印象的。
- ただしジャンルとしては王道寄りである。
10. キャラクターの動きや表情の表現力 (4.0点 / 5.0点)
- 表情描写は非常に丁寧で、特にモリアーティの冷静な微笑や、追い詰められた敵の怯えた目元など、感情の揺れを繊細に捉えている。
- 静かな心理戦を主軸にしつつも、要所では大胆なコマ割りや視線誘導で緊張感を高めており、ビジュアル面でも作品の重厚な空気感を支えている。
- ただし、アクションや派手な動きの場面は控えめで、画面に勢いが出るようなシーンは限定的と感じた。。。
11. 背景と世界観の描写 (5.0点 / 5.0点)
- 19世紀末のロンドンの街並み、階級の違いを象徴する建築や風景の描写など、時代背景を強く感じられる美術が印象的である。
12. 臨場感の演出 (4.8点 / 6.0点)
- 空気感や時代の重さは良好に再現されているが、一部演出はやや控えめで、没入感が弱まる場面もあると感じた。。。
13. 表現技法の新規性 (1.5点 / 2.5点)
- 作画・演出ともに安定しており美しいが、技術的な冒険や革新性は見られず、良質な既存技法の範囲に留まっていると感じた。。。
テンポの良さ (18.0点 / 21.0点)
14. 導入の速さ (4.0点 / 5.0点)
- 第1話からモリアーティの思想と背景が提示され、興味を引く展開がなされている。
- だが、やや情報量が多く、理解に時間を要する部分もある。。。
15. 展開のスムーズさ (4.0点 / 5.0点)
- 各事件の進行や物語の構造は整理されており、全体としてはスムーズ。ただし、終盤はテンポが早まりすぎる感がある。。。
16. 中だるみの有無 (4.0点 / 5.0点)
- シリーズ中盤において一部の事件がややテンプレート的になる部分があり、やや緩やかな展開になることもあるが、興味を失うほどではない。
17. クライマックスへの盛り上がり (6.0点 / 6.0点)
- ウィリアムとホームズの関係性が最終局面に向けて複雑に絡み合い、期待値をしっかり高めている点で評価が高い。
第一印象 (4.0点 / 5.0点)
18. 表紙/キービジュアルのインパクト (2.0点 / 2.5点)
- スタイリッシュで上品な雰囲気を持つデザインで目を引く。
- 作品のテーマも伝わるが、「革命」や「破壊」といった激しさは控えめであり、印象は上品寄りに収まっている。
19. タイトルの印象 (2.0点 / 2.5点)
- 「モリアーティ」という名前で読者にシャーロック・ホームズとの関係を想起させる
- 「憂国」という言葉で、国家に対する問題意識やシリアスなテーマを匂わせる
- この二語だけで、知的・シリアス・反体制といった作品の方向性をある程度伝えており、印象としてはかなり優秀。「モリアーティ」という名前で読者にシャーロック・ホームズとの関係を想起させる
- 「憂国」という言葉で、国家に対する問題意識やシリアスなテーマを匂わせる
- この二語だけで、知的・シリアス・反体制といった作品の方向性をある程度伝えており、印象としてはかなり優秀。
- ただし、「憂国」というやや古風で硬質な言葉は、一部読者にとってはやや取っつきにくさもあるかもしれず、タイトル単体でのキャッチーさや新規性という観点では4点と評価した。
巻数
全19巻(連載中。評価時点の巻数)
作者
作者
- 構成:竹内良輔
- 漫画:三好 輝
主な作品
- 竹内良輔
- All You Need Is Kill(構成担当、原作:桜坂洋、キャラクター原案:安倍吉俊、漫画:小畑健)
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